通販で届いた真新しいダンボール。
買ったばかりの靴の小さな箱。
まるで吸い込まれるように愛猫が「スポッ」とちょこんと収まっている姿——もう、たまらなく可愛いですよね。
でも、その可愛らしい姿にふふっと癒されながらも「どうしてそんなに箱が好きなんだろう?」「もしかして、何かストレスでも感じてるのかな…?」なんて、不思議に思ったことはありませんか?
愛猫の行動に隠された健気で愛おしい「本音」を知れば、何気ない仕草がもっと愛おしく感じられるはずです。
実は猫が箱に入るのは、遠い祖先から受け継いだ「野生の本能」と「ただ、ここで安心していたいニャ…」という純粋な気持ちが合わさった行動なんです。
管理人猫なりに、とっても賢くて可愛い選択ということなのですね。
猫が箱に入るのは「野生の本能」と「安心感」の組み合わせ


猫が箱に吸い寄せられるように入っていくのは敵から身を隠し、獲物をそっと待ち伏せしていた野生時代の本能の名残です。
狭い場所に体をぴったりとフィットさせることで得られる心理的な安心感も、大きな理由の一つになります。
これらが組み合わさった、猫にとっては極めて合理的で自然な行動といえるでしょう。
科学的にも証明された、猫と箱の深いつながり
猫が箱を好むのは、単なる「猫あるある」で片付けられる話ではありません。
科学的な研究によって、箱が猫のストレスを驚くほど軽減する効果があることが示されています。
オランダのユトレヒト大学で行われた興味深い研究では、保護施設に来たばかりで不安な猫たちに箱を与えたところ、箱を与えられたグループの方が早く新しい環境に慣れ、ストレスレベルも明らかに低かったという結果が報告されています。
隠れ箱は保護施設の猫のストレスを軽減するのでしょうか?(英論文)
引用:ユトレヒト大学公式サイト
つまり、愛猫にとって目の前の箱は、不安な時に心をそっと落ち着かせてくれる、かけがえのない「安全地帯」なんですね。
猫が箱に入る5つの理由——心理学・行動学から徹底解説


猫が磁石に引き寄せられるように箱に入っていくのには、ちゃんとした理由があります。
祖先から受け継いだ本能や、猫ならではの臆病で賢い心理に基づいているのです。



人にとっては「ただの箱」でも、猫にとっては優れたシェルター、温かいベッド、そして最高の狩り場になります。
それでは、5つの理由を一つずつ詳しく見ていきましょう。
理由①:身を守るための本能(狭い場所=安全な隠れ家)
猫が箱に入る最も根源的な理由——それは、自分の身を守るための野生の本能です。
猫の遠い祖先は、自分より大きな動物から身を隠すため、狭い岩の隙間や木のうろを安全な隠れ家としていました。
家でゆったりと暮らす現代の愛猫にとって、目の前のダンボール箱は、その頃の記憶を呼び覚ます理想的なシェルターなのです。



四方を壁に囲まれ、入り口は一つだけという最高の構造ですね!
- 野生時代の名残:敵から身を隠し、安心して休息するための巣穴として認識している
- 安心できる構造:背後や側面からの不意の攻撃を心配しなくて済む
- 精神的な安定:体をぴったりと預けられる安全地帯があることで、心が深く落ち着く
理由②:ストレスを軽減する(ユトレヒト大学の研究より)
箱には、猫のストレスを優しく和らげてくれる効果があることが、科学的にも示されています。
先ほど紹介したユトレヒト大学の研究では、箱を与えられた猫は、そうでない猫に比べてストレスの兆候が明らかに少なく、新しい環境にずっと早く慣れたことが報告されています。
隠れ箱は保護施設の猫のストレスを軽減するのでしょうか?(英論文)
引用:ユトレヒト大学公式サイト



私たち人間も、疲れた時は一人になれる部屋が欲しくなりますよね。
猫は対立や面倒な問題を避けるために「隠れる」という賢い行動を選びます。
箱は、愛猫が自分の意思でストレスの原因から距離を置き、心を落ち着かせるための大切なツールなのです。
| グループ | ストレスレベル | 環境への順応スピード |
|---|---|---|
| 箱あり | 低い | 早い |
| 箱なし | 高い | 遅い |
理由③:暖かさを保つため(ダンボールは最高の断熱材)


猫がダンボール箱を特に好む理由の一つが「暖かさ」です。
猫の平熱は人間より高く、快適な体温を保つため、本能的に暖かい場所を探しています。
ダンボールは繊維の間にたくさんの空気を含むため、驚くほど断熱性に優れた素材なんです。
- 猫の体温:人間より高く、寒さを感じやすい
- ダンボールの特性:空気の層が熱を逃がしにくい、優れた天然の断熱材
- 相乗効果:狭い空間と断熱性で、効率的に自分の体温を維持できる
理由④:好奇心と縄張り意識(新しいものを確認したい!)
家に新しい荷物が届いた途端、愛猫がまるで検品するかのようにダンボール箱に入り込むのは、強い好奇心と縄張り意識の愛おしい表れです。
「これは一体なんだニャ?危険はないかニャ?」と、隅々まで徹底的にチェックせずにはいられないのです。
箱の中に入って匂いをクンクンと嗅いだり、体に自分の匂いをスリスリとこすりつけたり(マーキング)するのは「うん、これは安全だ。今日から、ワタシのものだニャ」と高らかに宣言しているんですね。
- あふれる好奇心:新しいものへの抗えない強い興味
- 強い縄張り意識:自分のテリトリーをパトロールし、安全を確認する本能
- 愛おしいマーキング:自分の匂いを付けることで、縄張りの一部として安心する
理由⑤:狩りのシミュレーション(最高の待ち伏せ場所)
箱は、愛猫にとって最高の「待ち伏せ場所」でもあります。



猫は生まれながらの優れたハンターです。
獲物に気づかれずそっと近づき、一瞬の隙を突いて飛びかかるのが得意技。
箱の中からじっと外をうかがう行動は、まさにこの狩りの本能を満たすシミュレーションなのです。
飼い主の足元やお気に入りのおもちゃが通りかかるのを、箱の中から目をまん丸くして待ち構え、絶好のタイミングで飛びかかる——。
- ハンターとしての本能:獲物を待ち伏せして、静かに狩りをする習性
- 遊びとしての狩り:動くものを獲物に見立てて、狩りの練習を日々楽しんでいる
- 絶好のポジション:自分の姿を隠しながら、外の様子を安全に観察できる
愛猫のために飼い主ができること|安全な「箱ライフ」のすすめ


愛猫がなぜこれほど箱を愛するのか理由がわかったら、次は愛おしい「箱ライフ」をより安全で楽しいものにしてあげましょう。
猫に人気の箱とは?サイズ・素材のポイント
実は、すべての箱が猫に好かれるわけではありません。
夢中になる箱には、いくつかの共通点があるんです。



最も重要なのはサイズ感。
猫は、自分の体にぴったりとフィットする、人間から見ると「ちょっと窮屈じゃない?」と感じるくらいの大きさをこよなく愛します。
体が箱の側面に触れることで、より強い安心感を得られるからです。
また、素材としては「ダンボール」が圧倒的な人気を誇ります。
- 最適なサイズ:体を丸めた時に、四方に体が優しく触れるくらいのジャストサイズ
- 人気の素材:ダンボール(保温性、爪とぎ、匂いの付きやすさ、すべてが最高!)
- 形状:上部が開いているものだけでなく、横に穴が開いているタイプも大人気
箱で遊ばせるときの3つの安全対策


箱遊びは猫にとって楽しいものですが、思わぬ事故を防ぐため、飼い主さんが安全管理をしっかり行いましょう。



猫が舐めたり誤飲したりする危険があります。
次に、箱をかじってボロボロになった破片を大量に食べてしまうと、消化器系のトラブルを引き起こす可能性があります。
箱が著しく破損したら、新しいものと交換してあげましょう。
最後に、猫が箱の中で落ち着いて静かにしている時は、無理にちょっかいを出したり驚かせたりしないこと。
そっと見守ってあげてください。
- テープや伝票は必ず剥がす(誤飲防止)
- ボロボロになったら新しい箱と交換(破片の誤食防止)
- 落ち着いている時はそっとしておく(安心できる場所を守る)
箱以外で猫が好きな「狭い場所」はどこ?


箱に対するあの可愛らしい執着は、猫の「狭い場所が大好き!」という本能の一例にすぎません。
| 場所の例 | 猫がそこを大好きな理由 |
|---|---|
| 買い物カゴ、紙袋 | 箱と同じく四方を囲まれていて、なぜか安心できる。 |
| クローゼット、引き出し | 薄暗くて静かで、誰にも邪魔されず身を隠すのに最適。 |
| 洗面台のボウル | 丸い形状が体にフィットし、夏はひんやりして心地よい。 |
| 布団や毛布の間 | 暖かくて柔らかくて暗いため、最高に安心して眠れる。 |
これらはすべて、猫が本能的に「安全だニャ」「快適だニャ」と感じる条件を満たしています。



愛猫が見当たらない時は、こうした場所をそっと探してみてくださいね。
【番外編】床の四角にも入る?「錯視」が生み出す猫の不思議な習性


実は箱だけではありません。
なんと、床にテープで描かれただけの「四角」にも、猫が吸い寄せられてしまう——。
そんな不思議で愛おしい行動が、SNSで話題になったのをご存知でしょうか。
この愛らしい行動の裏にも、猫の認知の仕組みに関わる興味深い科学が隠されています。
「カニッツァの正方形」実験とは?
この不思議な現象を理解する鍵となるのが、錯視の研究で用いられる「カニッツァの正方形」という図形です。
カニッツァの正方形(見えることもあれば見えないこともある心の補助線)
引用:立命館大学
これは、実際には線で描かれていないのに、私たちの脳が欠けた部分を勝手に補って、そこに四角形(輪郭)を知覚してしまう錯視図形の一種です。
2021年に行われた市民科学プロジェクトでは、驚くべきことに、猫も私たち人間と同じように、錯視で生まれた「見えない四角形」の上に好んで座るという傾向が示されました。
猫が箱に座るのが好きな理由
引用:スミソニアン マガジン
- 錯視とは:私たちの脳が情報を勝手に補完して、そこに存在しないはずの形を認識してしまう現象
- 驚きの実験結果:猫も私たち人間と同じように、錯視によって生まれた輪郭を認識している可能性がある
なぜ猫は「見えない箱」にも入るのか
この実験結果から、猫は物理的な壁だけでなく、視覚的な境界線にも「囲まれている」と感じ、安心感を覚える可能性があることが示唆されています。
猫の脳は、床に描かれた四角い線を仮想的な箱のフチとして認識し、その内側を「安全な場所だニャ」と判断しているのかもしれません。



なんて賢くて可愛いんでしょう!
ただし、すべての猫が同じ反応を示すわけではなく、個体差も大きいとされています。
- 仮想的な境界線:線で囲まれた内側を安全なエリアとして認識しているのかも
- 視覚による安心感:物理的な壁がなくても「囲まれている」という感覚を求めているのかも
- もちろん個体差あり:この反応には大きな個体差があり、全く興味を示さないクールな子もいます
愛猫で試せる?SNSで話題の「#猫転送装置」
この猫の不思議な習性を利用した愛らしい遊びが、SNSで「#猫転送装置」や「#猫ホイホイ」として大きな話題になりました。



やり方はとても簡単です。
床にビニールテープや養生テープで四角い枠を作るだけ。
しばらくすると、まるで魔法のように愛猫がその枠の中に吸い寄せられ、ちょこんと座る——。
そんな奇跡のような現象が、世界中の飼い主さんから次々と報告されています。
危険はないので、コミュニケーションの一環として試してみてはいかがでしょうか。
| 準備するもの | やり方 |
|---|---|
| ビニールテープなど、床に貼れるもの | ① 床に四角い枠を作る。 ② 愛猫が入ってくれるのをひたすら待つだけ。 |
猫が箱に入ることに関するQ&A


ここでは愛猫が箱に入る愛おしい行動について、Q&A形式で優しくお答えします。
飼育環境の改善には「猫用システムトイレ比較」も参考になります。
まとめ|箱は猫にとって最高のプレゼント


この記事では、猫がなぜあんなにも箱に入るのか、その可愛らしい行動の裏にある科学的な理由から、飼い主さんがサポートできることまでを詳しく解説してきました。
最後に、大切なポイントをもう一度まとめます。
- 本能と安心感の愛おしい産物
猫が箱を愛するのは、身を守り獲物を待っていた「野生の本能」と、狭い場所に包まれることで得られる「心理的な安心感」が同時に満たされるからです。猫にとって、ごく自然で賢い行動と言えます。
- ストレスをそっと和らげてくれる効果も
科学的な研究でも、箱が猫のストレスを和らげ、新しい環境への順応を助ける効果が示されています。箱は愛猫にとって心のお守りのような大切な存在なんです。
- 安全への配慮
ただ箱を与えるだけでなく、テープ類を剥がしたり破損をチェックしたり、愛猫が安全に「箱ライフ」を楽しめるように配慮することが、飼い主さんの大切な役割です。
愛猫が箱に入る理由と、その行動のたまらない愛おしさを、より深く理解していただけたでしょうか。
もしお家にちょうど良いサイズのダンボール箱があるなら、まずはこの記事で紹介した「安全対策」を施して、リビングの隅にそっと置いてみてくださいね。




